木製ピックガード反りがち問題
・一般的にピックガードはプラスチック製のため、経年変化で10年以上経過してくると動くものもあるが、特に完成直後に動くものは少ない。
一方木製のピックガードは木目によって反る。特に一枚板で厚みが薄くなるほど木目の影響を受けるため、完成直後から動いてしまうケースも多い。
木製ピックガードをギターデザインに取り入れる際は、この点を十分に検討し採用する必要がある。安易に取り入れようとすると、かえって外観が野暮ったくなってしまうなど意図と反する結果になってしまう。
(従来の)ピックガードが反らないための対策
案1:ピックガードを厚く作る
→厚みを持たせることで一枚板でも反りにくくする。一般的なプラスチック製のピックガードはせいぜい2.5mmだが、それよりも厚くすることで多少反りに対する耐性を持たせようと言うもの。それでも反るものは反る。
木製ともなると5mmくらい欲しいところだが、さすがにボリューム感が出て、ギター全体デザインに負の影響を与える時がある。
案2:ピックガードビスを沢山打つ
→オールドのエレキギターを見ているとよく分かるが、樹脂製のピックガードも波打つ様に変形してしまう。それは決まってビスが打たれている場所は木部に固定されているものの、それ以外の場所が浮き上がってボディとピックガードの間に隙間が発生しているものである。
始めから反るのが分かっているのであれば、ビスを打ち込むポイントを増やして、隙間が空くのを防いでしまえば良い。
Momose Custom Craft Guitars木製ピックガードの紹介
2020年5月末に開催されたディバイザーバーチャル大商談会に出展したエレキギター、エレキベースには木製ピックガードのモデルが多くあったことはお気づきになりましたでしょうか?
今まで飛鳥ファクトリーでも先述の課題があったため、木製ピックガードを取り入れる場合は少し慎重になり、結果として製作する機会は少なかったのが現状でした。
実は先日アップした
「【2020商談会】レジン塗装について職人へインタビュー」
という記事の中でも触れている、「木材の減圧設備」がこの木製ピックガード問題を解決に近づけています。
レジンを木部に染み込ませるための減圧環境ですが、それとは別に木製ピックガードに対し減圧した状態で塗料を染み込ませることで、塗料が木部まで浸透しピックガード内部の空気が抜けることで、一般的なピックガードとほぼ同じ厚みを維持しながら反りへの耐性が著しく向上しました。
飛鳥で行っている減圧設備については、現在も発展途中であり、引き続き機能の向上が見込まれています。レジン塗装を始めとする、ギターデザインに直接影響するカラーバリエーションのグレードアップはもちろんのこと、今回のピックガード問題の様に間接的に機能やルックスを向上させる期待が寄せられています。
フレイムトチをボディに使用したMomose特別モデルMT-FT-SP'20/WGを例に見てみると、
指板に合わせてウェンジを使ったピックガードを製作しました。
画像はプロト製作時のものですが、
(※プロトのため木材が異なりますが、ピックガード縁の埋め込みの溝にご注目ください)
ウェンジピックガードの外周に溝を彫り、そこにボディ材でも使用したフレイムトチを埋め込んであります。
さらに、従来のレギュラーモデルMTLのピックガードと比較すると分かるように・・
ピックガードビスも位置を検討しながら増量してあります。
ゴールドのピックガードがフレイムトチの埋め込みの中央を通るように、位置にはかなり気を遣いました。
こだわりを込めた木製ピックガードを採用したフレイムトチボディのMomose商談会モデル、楽器店でお見かけの際は是非近くでご覧ください!!
ディバイザーバーチャル大商談会特設サイト
ディバイザーバーチャル大商談会特別モデル
Momose MT-FT-SP'20/WG
¥330,000(税抜)【限定5本製作】
製品ページ
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