ヘッドウェイオリジナルのギター音響調整システム「Headway Wood Equalizing System」は完成したギターのポテンシャルを最大限に引き上げ、そのギターの持つ個性、そのギターらしい音に近づける、木質調査、調整・施工を含む一連の作業を包括したサービスです。組み上がったヘッドウェイギターに対し、このプロセスを施すことで、より豊かでバランスの取れたサウンドを購入直後からご体感頂けます。
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「アコースティックギターは弾くほど音が良くなる?」
ギターの音がギターの音らしく聞こえるのは、素材である木の周波数特性によります。木をミクロの世界で観察すると木の繊維が短いものから長いものまで複雑に折り重なって形作られている事が分かります。実はこの木の繊維が長いものほど低い周波数で共振し、短いものほど高い周波数で共振することが解っています。
仮に長い繊維が別れて短い繊維2本になれば、共振する周波数は低いところから高いところへ移ります。このミクロの視点で知ることができる木材の特性を、「板への加振」という方法で変化させることで、ギターの完成時からバランスに優れたサウンドに調整するのがWood Equalizing Systemです。
ギターのボディはすべての周波数にたいしてフラットに振動する訳ではなく、振動しやすい周波数帯があることがアナライザの波形から分かります。(上図beforeを参照)125Hz付近が最も大きく、6kHz付近にも山が発生しています。
7日間ギターに対し施工した結果、個体は上図・Afterの様に変化します。施工前後を比較すると特に500Hzより高音の帯域で出力が向上していることに気が付きます。木部を加振し木部の繊維が音響的に整うことで、ボディがより鳴りやすくなります。
Wood Equalizing Systemは完成直後のギターに対して行う、音質調整作業です。完成品のヘッドウェイギター1本1本それぞれの個体差をみてボディ材を加振し各周波数帯の鳴りを最大化します。
ギターは素材である木材の個体差によって完成した音にも差が生まれます。また、ギターは素材の樹種によっても音に違いが出てきますが、この違いがより感じやすくなるのも、それぞれの周波数帯を最大化するウッドイコライジングシステムのメリットの一つです。さらに完成直後のギターが振動することは、接着剤などの木部にわずかに残った湿気をより早く乾燥させることにもつながります。
「ギターを弾き込んで鳴らしていく」という表現があります。これはしまわれたままのギターの音が抜けないことや、弾き込んだギターの方が良い音がする、というギタリストの経験的な実感の現れです。Wood Equalizing Systemはこの弾き込んで鳴らしていく作業を合理的に突き詰めたプロセスと言い換えることができます。このシステムを経たギターで、弾き始めから鳴る感覚をご体感ください!
Q:どんなギターでも効果がありますか?
A:新品のアコースティックギターが一番効果を感じやすいです。
エレキギターも素材は木材ですが、ピックアップで音を拾う点、ソリッドボディで質量が大きく木質の変化がしづらい点から、効果はあまり期待できません。また、完成から長期間経過し、弾き込まれたアコースティックギターもあまり効果は期待できません。
システムの特性上、完成直後か、あまり弾かれていなかったギターは効果を感じやすいと考えられます。
Q:施工前の状態に戻せますか?
A:元の状態には戻りません。
木材の中の繊維を加振し調整する、というシステムの特性上、作業前の状態に戻すことはできません。弾き込んだギターが新品の状態に戻ることが無いように、ウッドイコライジングシステムを施したギターは施工前の状態には戻ることがありません。
Q:どれくらいの時間が掛かりますか?
A:約1週間程度です。(2019年12月現在)
現在約1週間程度の時間をかけて調整作業を行っています。2週間以上の時間を掛けたものと比較したところ、大きな差が見られなかったため、1週間程度で十分な効果が得られると判断しています。
Q:木材の違いは効果に影響しますか?
A:影響しません。
一般的なアコースティックギターに使用される木材であれば、ウッドイコライジングシステムの効果は得られます。(2019年12月現在)
Q:自分のギターに施したいのですが。
A:現在は新品ヘッドウェイギターにのみ施します。
設備の都合上、現在のところ完成直後で発売前のヘッドウェイギター(カスタムショップ、ATBシリーズ各製品)にのみ施工しています。今後準備が整い次第、別途アナウンスいたします。