ギタービルダー百瀬恭夫のギター作りに対する探究心が、そのまま写し込まれたアコースティックギター。
製品には百瀬恭夫のサイン入り特別デザインのサウンドホールラベルが貼られています。
百瀬恭夫の近年製作モデルの中から最も手応えを感じた仕様をヘッドウェイスタンダードシリーズで再現。
百瀬の現在のこだわりを反映させたHeadway Standard seriesの115がいよいよ完成
ヘッドウェイマスタービルダー・百瀬恭夫
1977年のヘッドウェイギターズブランドスタート時からギター製作に携わる。
HD-115は初期のヘッドウェイの最も基本的なモデルの一つとして、ヘッドウェイのイメージを決定づけます。
後にファンから「昭和ヘッドウェイ」と呼ばれる様になった1977年から1980年代前半にかけて完成したHD-115他ヘッドウェイのギターは今では発売時の価格を上回るプレミアがつくほどになっています。
1970年代後半は、いわゆるフォーク世代のピークを超えたあたり、プレイスタイルはまだまだピックストロークが隆盛を極めていた頃です。ヘッドウェイのギターはピックストロークでガンガン弾いても応えてくれるような頑丈なギターが持ち味でした。
一度生産を中断した後、2000年に復活した際、改めてHD-115から作り始めています。このとき限定128本製作したHD-115は全て完売し、現在も多くのユーザーの方にご愛用頂いています。
それまでエレキギター生産に携わっていた百瀬は、ヘッドウェイギター復活以降は再びアコースティックギター製作に戻り、技術を追求し続けています。
2015年には長野県卓越技能者知事表彰「信州の名工」を受賞し、これまでのギター製作の経歴を認めて頂きました。
今も百瀬はカスタムショップシリーズにて製作を続け、ヘッドウェイギターのフラッグシップモデルを製作し続けています。
ブレイシングに対するこだわり
百瀬のギター作りにおける探究心のベクトルは多方向に向かっていますが、中でも注目するのはブレイシングレイアウトです。
ブレイシングとはアコースティックギター内部の補強の木材パーツのこと。ヘッドウェイではこれまでもXブレイシングの交差をサウンドホールからやや離れた位置にレイアウトする「アドバンスド・リアシフトXブレイシング」と名付け現在のレギュラーモデルに採用するなど、Xブレイシングに対して音質の向上、サウンドのバリエーションの可能性を探り続けています。
百瀬にとってもブレイシングについて強い関心を寄せるとともに、これまで様々なバリエーションを製作してまいりました。
便宜上昭和ヘッドウェイを「ノンスキャロップ・ノーマルX」とします。サウンドホールから38mmの位置にXブレイシングがレイアウトされています。
これはヘッドウェイ創業当時、1960〜70年代にポピュラーだったブレイシングレイアウトが、このノンスキャロップ・ノーマルXです。ノンスキャロップにするだけでなく、ヘッドウェイでは板厚を少し厚めに設定することで、他メーカーのギターに比べて頑丈で、音についても比較的硬質であるという特徴がありました。
その後ヘッドウェイ復活後の2000年代、HD-115の流れを汲むCustom series HDモデルはセミフォワード〜フォワードシフトXブレイシングのレイアウトを採用し、さらにブレイシングにスキャロップを加えました。より倍音を引き出し、フィンガーピッカーのプレイスタイルにもマッチするように、ヘッドウェイとしては大きな方向転換を進めた形になります。
さらに2010年代の後半には「アドバンスド・リアシフトXブレイシング」を打ち出します。サウンドホールから46mmの位置に離れたXブレイシングは、強度が高く音質的にも硬質になるかと思われましたが、位置・サイズほかの微調整とブレイシングのスキャロップ加工により、適度に締まって、バランスにも優れたブレイシングレイアウトです。
これらブレイシングパターンの製品化と並行して、百瀬はアコースティックギターの歴史上製作されてきたブレイシング設計を改めて見つめ直し、自分のギターに取り入れる取り組みを進めていました。
その中でもヘッドウェイのギターでこれまで製品化されていなかったのが、1930年代に初出したサウンドホールから30mmにXブレイシングが位置するレイアウトです。
完全フォワードシフトと呼ばれるサウンドホールから25.4mmにXブレイシングが位置するレイアウトは、倍音が大きく出てふくよかなサウンドですが、数十年経過した後に音質面、強度面で不安が残ります。
30mmの位置にすることで、フォワードシフトブレイシングが持つ柔らかさや倍音感を残しつつ、強度の面でも安定している点が大きな魅力です。
スキャロップの有無については、ノンスキャロップのときは音に締まりがあり、スキャロップであればエアー感が増して、低音域も豊かになります。
百瀬恭夫製作のカスタムショップモデルでは、この両方を製作しましたが、今回のスタンダードシリーズHD-115 SF,S/STDではスキャロップブレイシングを採用しました。
百瀬は過去のインタビューで「お客さんが手に持ったときに我々クラフトマンの気持ちが少しでも伝わるようなギターを作りたい」と語っています。
ヘッドウェイスタンダードシリーズのギターは百瀬が直接作業をしたアコースティックギターではありませんが、百瀬の探究心が推し進めてきたヘッドウェイの進化の過程やものづくりの哲学、そして「ヘッドウェイの今」が写し込まれたギターです。
ヘッドウェイを初めて手に取る方、以前ヘッドウェイを試して離れてしまった方に改めてお試し頂きたい自信作です。
大幅な軽量化を実現
従来のレギュラーモデル「HD-115 A,S/STD」と比較して大幅な軽量化を実現しました。ヘッドウェイの昔ながらの堅牢なギターづくりはそのままギター本体が重くなる傾向がありました。今回のHD-115 SF,S/STDではボディ内部、ネック接合部付近に位置するネックブロックと呼ばれるパーツの幅を少し狭め、質量を落としました。また、ボディのサイド・バック板を約5%薄くし、ペグはオープンバックタイプを採用。その他細かな調整を施すことで、本体重量2kg強ほどに重量を抑えることが出来ました。
伝統的なHD-115の作り方を継承しながらも、細部の見直しを徹底することで、より多くのギタリストの方に「弾き倒して」頂ける様なギターを目指しました。
上質な木材を選定
タイミング良く木材ストックが充実し、このギターの製作では豊富な中から良質な木材を選別することが出来ました。百瀬をして「自分の使う材よりも良い材」と言わしめた程です。木目の通り、目の詰まりを是非実物でご確認ください。
伝統的なロングサドル仕様
ビンテージギターさながらにロングサドル仕様です。HD-115を始めとしてヘッドウェイでは定番の「ショートサドル」仕様。しかしオールドのギターは製作当時にサドル溝を掘ることが出来ず、サドル溝は一本の溝を真っ直ぐに掘ることしか出来ませんでした。今回のHD-115 SF,S/STDでは、このオールドギターならではの意匠を引き継ぎロングサドル仕様にて製作しました。
貝で埋めたヘッドロゴ+塗り込み風のピックガード
特別なモデルだから、外観にもアクセントを加えました。HD-115SF,S/STDではヘッドのブロック体ヘッドウェイロゴを白蝶貝で表現。ピックガードの柄を高級感ある赤べっ甲に変更し、さらにヘッドウェイスタンダードシリーズではピックガードは後貼りですが、ピックガードの縁を切りっぱなしではなく綺麗にまるめることで、上位機種ATBシリーズのギターの様な「塗り込みピックガード」の様に感じられる質感を再現しました。
発売中!!
HD-115 SF,S/STDはディバイザーバーチャル商談会出展モデルとなります
2020ディバイザーバーチャル商談会
Headway Standard Series【HD-115 SF,S/STD】
希望小売価格・・・¥215,000(税抜)
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