ディバイザーバーチャル商談会2020へ向けて製作された特別モデルのうち、一際個性を放っていた「レジン」塗装の6モデル。楽器製作時の苦労やエピソードについて、飛鳥ファクトリーの塗装部門を担当している梶田恭正に話を聞きました。
MC-Premium/BM #11453
-これまでもレジンを使った塗装を行っていたと思いますが、今回製作のモデルについて印象に残っていることはありますか?
梶田
レジンの持つ人工的な質感と自然の木材の持つ素材のコントラストをいかに際立たせるか、がレジン塗装で大事なことだと思っています。
これまでもそのつもりで作ってきましたが、今回の6本は、いい意味でもそうでない意味でも(笑)様々なパターンの木材が上がってきまして、個人的にはバランスを取るのに苦心しました。
プレイヤーの方にいい印象を持ってもらえれば幸いです。
-具体的にはどの様な方向性で進んだのですか?
梶田
まず木材部分がナチュラルのものとシースルーブラック系の2カラーで分かれ、それに合わせてレジンのカラーを決めました。今回は青系のレジンと
木目とレジンを目立たせるためピックガードレス仕様です。
ボディトップはバールメイプルという木材を使っていますが、この木は木部に隙間が沢山あり、そこにレジンを流し込みます。
以前は木部に対してそのままレジンを流し込んでいたため、加工途中でレジン内部に気泡が入ってしまい、特に小さな隙間では気泡が目立ち、仕上がりが悪いことが分かっていました。
今回は加工設備もアップグレードされ、十分に減圧された状態でレジンを木部に浸透させることができました。これにより先述の気泡問題も解決したのは良かったです。
ボディだけでなく、ポジションマーク、ヘッドロゴにも同じレジンを入れ、全体に統一感を持たせることが出来ました。
MJ-Premium/BM・AC #11504:ポジションマークにもレジンを使用している。
-完成品を見ていかがでしたか?
梶田
MT-Premium/BM #11452はもともと黒い木部に対して明るめのレジンを入れたつもりだったのですが、流し入れた直後から作業を進めるに従ってどんどん落ち着いた色味になり完成しました。レジンの中で成分がわずかに表層と下層に分かれる性質があり、硬化後に表層は明るい色味、下層が暗い色味となったため、磨きを経て色味が落ち着いたものと考えられます。
MT-Premium/BM #11452
レジン直後の印象もあり、完成品を見たときはおとなしい感じがしましたが、よく見ると複雑な木目とマーブル状のレジンの境目が馴染みながらも別素材ならではの静かなコントラストが感じられて、結果的には上手くいった様に思っています。
製作するごとに手応えというか経験値が増えています。
レジン加工する減圧設備の改善や、使用するレジンのカラーや機能性とその取扱い方法、レジンを入れるボディ材の方の下準備など、考慮するべき点が多数あり気を遣いますが、レジン塗装ならではの「ひと目見たときのインパクト」と長く使っていても飽きのこない「普遍性」みたいなものを両立したいと考えています。
MJ-Premium/BM・AC #11503
自然の木材の木目の雰囲気をさらに印象的にするレジン塗装の各モデルをぜひお楽しみください!
ディバイザーバーチャル商談会
Premium Collection
https://www.deviser.co.jp/feature/specialcollections2020/momose-premium