希少なものよりも選ばれたものの方が贅沢かもしれない
「腐っても鯛」とはいうものの実際のところ腐った鯛は美味しくない訳で、たとえ珍しいものが少量手に入ったとしても、以前より品質が悪ければ、それ自体の本質的な価値は高いとは言えません。
そして昔よりも情報、モノ自体も含めて流通が発達した現在では、辺境の物珍しさだけでは価値として認めづらい状況になっているのは間違いありません。
十分なモノに囲まれる今、むしろ量が確保されている中から厳選を重ねて選びぬいたモノの方が、私たちにとって魅力があります。
今回、ヘッドウェイギターを製作する飛鳥ファクトリーの木材ストックの中でも、この「厳選」をテーマに、アコースティックギターの素材として相応しい素材を取捨選択した上で形にしました。
基本となるヘッドウェイの伝統的な型式HD-115をベースに、レギュラーラインナップからアップグレードさせた「極上材のみを使った特別仕様」の1本です。
本当に価値あるギターをお探しの方に是非お試しいただきたいギターです。
セレクテッドレッドスプルース
アコースティックギターに向いているスプルースは、目が細かく詰まって均質なもの。当然ながらフシやシミといった見た目にも影響する点は避けるように木取りします。
倉庫の中で50年以上にわたって保管され続けてきた北米産レッドスプルースのストックの中から厳選しました。
目が詰まって端正な外観ながら、適度な柔らかさ、しなりが感じられ豊かな倍音を生み出す質感を感じます。
セレクテッドインディアンローズウッド
ローズウッドは産地の違いで価値が乱高下する代表的な木材です。希少価値が極めて高いブラジリアンローズウッドの音についての価値は、その密度と硬さにあります。ただし既に材が枯渇している今、この質を担保する良材は皆無です。ヘッドウェイのインディアンローズウッドのストックの中でも目が詰まって硬質な材を選別し、ローズウッドならではの低音の鳴り、高音域の華やかさを生み出します。
高密度ナット・サドル
従来ナット、サドルはスペック欄に「Bone」と表記されていますが、何の骨かというと牛の骨です。
一般的にナットやサドルの素材は牛骨のほか、タスク、象牙、ブラス、プラスチック、カーボンファイバーなど様々なものが存在し、それぞれに一長一短が見られるわけですが、ヘッドウェイでは一貫して牛骨素材のものを使用し続けています。
この度、従来よりさらに密度が高く、安定した品質のものを確保できる「水牛骨」によるナット、サドルを使用する事になり、新しい500番モデルにも採用しております。
今回こだわったのは言ってみれば「骨密度」。牛骨であっても、部位や個体差により、骨の密度が高いところと低いところが存在します。密度が低い箇所だった場合、ナット材を見るだけでもわかるほどに「す」が入っていたり、質感もスカスカしたものになってしまいます。
ヘッドウェイで新たに採用することになった水牛骨は仕入れ段階で比重に基準を設け1.7以上のもののみ使用する事にしました。この基準は従来の牛骨よりも詰まっていて密度が高く、外観面、質感はもとより音質面でもアドバンテージになるものと考えています。また象牙の比重は1.7から1.9と言われており、象牙と素材特性が近いと考えております。
参考URL
https://www.as-1.co.jp/academy/5/5.html
完成品をお試しいただく際は、ぜひナット・サドルの質感にもご注目ください。
※2019年2月完成分以降、飛鳥チームビルド製品は順次High Density Bone(水牛骨)ナット、サドルへ仕様変更いたします。
2019年10月中旬より順次完成してまいります。
楽器店様店頭でお見かけの際はぜひお試しください。
HD-115 SE A,S/ATB
HF-415 SE A,S/ATB
希望小売価格・・・各¥300,000(税抜)