RAYROSSブリッジは世界で初めての「サドルレス」のベースブリッジです。ベースブリッジには一般的に以下の機能があります。

 

・弦のボールエンドを固定する機能

・楽器の調律を行う機能

・弦高(指板から弦までの距離)の調整を行う機能

 

構造上、ベースやギターのような弦楽器において完璧な調律を行うことは不可能に近いです。一般的なブリッジにおいて高音弦側から低音弦側にかけてサドルの並びに角度が付けられているのは人間の聴覚にとって違和感が無い程度に、「出来るだけ完全に近い調律」を行うという目的のためです。私のブリッジもこの点においては例外ではありませんが、このサドルというパーツを取り除いたという一点において極めてユニークです。

一言で言えば、この構造の結果生まれたのはボールエンドからナットまでの「まっすぐな線」です。そこまで大したことでは無いように聞こえるかもしれませんが、実際は音響的に素晴らしい効果に結び付きました。

全てのブリッジは何らかの問題を抱えています。手持ちの現在お使いのベースを観察してみてください。弦はボールエンドからサドルの頂点に向かっては上向きに、反対にサドルの頂点からナットに向かっては下方向に張られています。つまり、サドルを頂点として曲げられた状態(ゆがんだ状態)で張られています。私はこの「ゆがみ」が弦の振動を阻害しているだけではく、音質そのものに悪い影響を与えているのでは無いかと推測しました。

RayRossブリッジにおいてテイルピースとサドルが一体化している構造を開発し、この推測は証明されました。弦のゆがみが無くなることによって生まれる素晴らしい音の結果に自分自身今でも感嘆しています。

このブリッジの材料は削り出しのブラスとステンレススチールです。この使用材料に関しても熟考を経たうえで辿りつきました。ブラスはとても「生命感」のある金属だと私は考えています。どういう意味かというと、振動を純粋な形で受け止めて伝達することにとても優れているということです。全ての金属が同じような素質を持っている訳ではありません。例えばアルミは「死んだ」金属だと私は考えています。音質的に死んでいる金属を使ってブリッジを作り、そこに素晴らしいサウンドを求めるというのは論理を超えていると私は思います。

「生命感」のある金属は他にも、ステンレス、ベリリウム、モリブデン、タングステンなどがあげられ、プラチナがその中でも最も優れている金属だと思いますが、プラチナを使うと30,000ドルのブリッジになってしまうので、その考えは今は脇に置いておきましょう。

世の中には楽器の音を表現するために様々な言葉が生み出されてきました。出来るだけ陳腐な言い回しは避けたいと思いますが、私がこのブリッジのサウンドに関して説明するのであれば次のような言い方になります。

 

私のブリッジをすでに使ってくれたユーザー達にとって、そして私自身にとっても、ここまで自然な音量とプレゼンスを獲得したベースのサウンドを聞くのは初めての経験でした。全ての音に透明感があり、自然なサスティーンとハーモニクスは並外れたものでした。ボールエンドを留めるアンカーは通常のベースブリッジと比較して高い位置にあるため弦の張力を余すところ無くにベースのボディに伝え、これまでのブリッジには無い並外れた振動を伝達します。沢山のベーシストたちが、レコーディングやライブのステージにおけるベースの音作りの難しさに苦しんできましたが、その苦闘もこれで終了します。このサウンドを聞いたら確信してくれるでしょう。

アーロン・ロス (Aaron Ross)

RAYROSS代表兼啓蒙・宣伝担当