ヘッドウェイが考える究極のトラベルギター「HT-615 N,S/ATB(ローズウッドサイド・バック)」の1stロット(2本のみ!)と「HT-613 N,S/ATB(マホガニーサイド・バック)」がいよいよ完成いたしました。
型式のHTは「ヘッドウェイ・タイニー」の意味が込められています。
ヘッドウェイマスタービルダーの降幡 新が主な設計を担当し、製作における重要な部分も同じく降幡が携わりました。
月に30本近くを製作するヘッドウェイATBシリーズにおいて今回製作されたHTはわずか3本。これにはギター製作上の手間が大いに影響しています。通常アコースティックギターを製作するために必要とされる治具(型や道具)は複数同じものを用意しており、一定の量産に対応出来るようにしています。しかし、このHT-615はその小さなボディの構造上、型を使えず手作業でなければ加工できない箇所があります。
それがボディサイド部分です。
↑手前がHNの型で曲げたサイド板、その後方、鉄製のHN型のネックジョイント付近とボディエンド部分に木製アタッチメントが追加されていることが分かる。これがHT用の型。画像右奥はその型で接着・固定したHTのボディサイド。
画像中の鉄製の型はヘッドウェイのHNシェイプ用。そのHNの型に対して更にネック側とボディエンド側を小さくする追加のスペーサーが加わっていることが分かります。
まず熱湯で煮込んだサイド板をHN型のアイロンで曲げ、HNのシェイプに曲がった板を、手作業でさらにHTの形に曲げていきます。一度熱を加えて曲がった板も、そのまま放置すれば元に戻ろうと動きます。曲げたあとの板を画像の通りHN+HTアタッチメントの型にはめ込み、ネックブロック、エンドブロックとともに接着して固定します。
この様に一本一本を文字通り手作業で形作ることで完成したHT-615 N,S/ATB。その設計上のこだわりは「小さいボディの手軽さとフルサイズギターの様なリッチな音色の両立」という課題をいかに実現するか、という一点に向けられたものです。
スケールもこれ以上小さくすると音が弱くなるギリギリと判断した610mm。ボディエンドの大きさも、低音域をはじめとしたギターサウンドのボリューム感を維持するために、小振りなボディシェイプの中でもサイズダウンを最小限に抑えました。
一見すると小さく見えないかも知れませんが、手にして頂ければその手軽さと降幡がこだわり抜いた充実の音色をご理解いただけることと思います。
↑画像右がHT
まずシンプルなスペックで製作したわずか3本ですが、お近くの楽器店でお見かけの際はぜひお試しください!!
HTモデル・その他のブログ
2020年3月27日:Headwayトラベルギター「HT」製作中!!
https://www.deviser.co.jp/headway/content/2020327#