WDGブログ【ターボスイッチの配線作業】

Workshop Deviser Guitars BLOG

広報スタッフのハシモトです。

工場のある長野県松本市は、桜が咲き暖かな春を迎えています。ディバイザー本社に植えられた「陽光桜」の木も、植えられてから初めて花を咲かせました。思ったより赤くて可愛らしい花です!


先日の雨と風で桜は結構散ってしまいましたが、気温も上がりあたたかくなってきましたので工場見学へお越しいただくには丁度よい季節だと感じています。(工場見学ご予約フォーム:http://www.deviser.co.jp/factorytour)

Workshop Deviser Guitars工房は、ディバイザー本社から徒歩3分と少しだけ離れた場所にありますので、工房を見学したい場合にはご予約フォームの備考欄にご記入いただけますと見学いただけます◎

 

さて、今回はWDG工房にて製作されるBacchus Craft Seriesパッシブエレキベースによく使われている「ターボスイッチ」についてご紹介いたします。

少しマイナーな内容になってしまいますが、是非このブログでターボスイッチの役割と職人達の気遣いが感じられる作業をご覧いただけたらいいなと思います。

 

「ターボスイッチ」について

そもそもターボスイッチって?

ターボスイッチとは「シリーズ/パラレル切り替え」のことで、搭載している2つのピックアップのつなぎ方を切り替えるスイッチです。ターボスイッチをONにすることで2つのピックアップがパラレル(並列つなぎ)からシリーズ(直列つなぎ)になり、ハムバッキングサウンドのような太くパワーのあるサウンドへ変化します。

具体的に説明すると、

一般的なジャズベースタイプのピックアップは、フロントピックアップとリアピックアップがパラレル(並列)で配線されています。
※ピックアップ1つ1つに対してボリュームコントロールができます。

これに対して「ターボスイッチ」をONすることで、フロントピックアップとリアピックアップがシリーズ(直列)つなぎとなり、パワーが上がります。Bacchus Craft Seriesエレキベース製品でターボスイッチ搭載モデルであれば、トーンノブを上に引っ張ることでターボスイッチがONとなります。

このときはいわばピックアップが1つのみと考え、ボリュームはフロントボリュームがマスターボリュームになり、リアのボリュームは効かなくなります。直列でピックアップをつなぐことで出力がアップし、太くパワーのあるサウンドが実現。ベースソロや少し目立たせたい時に使用するとメリハリをつけることができて効果的だと思います。

 

ターボスイッチの構造

ターボスイッチを搭載するためには、トーンに使用するポットを「スイッチポット」へ変更します。


▲左は一般的なサイズのPOT。右はPUSH/PULLができるスイッチポット。スイッチポットの仕組みは説明すると長くなってしまいそうなので、興味がある方はネットで検索を・・・。

 

スイッチポットは、ざっくりと説明するとプッシュ・プルで接点の切り替えができるスイッチ付きのポットです。その構造を利用し、プッシュ時には通常のトーンの役割を、プルアップ時にはターボスイッチがオンとなるような回路で配線を行っています。



コンデンサの足をジャンパー線として利用して端子同士をつなぎます。これをすることでスイッチポットをプルアップした時に、接点が切り替わりピックアップ同士が直列つなぎに変化するようになります。


ジャンパー線部分のはんだ付けが完了したらニッパーでコンデンサの足を切り、その他の部分もはんだ付けを行います。


上の画像がコントロールパネルに取り付ける前のスイッチポットの配線となります。

ターボスイッチを組み込む

配線は職人の細かなところまで気の行き届いたこだわりを感じることができます。(前回のブログはこちら:【気遣いも大事な配線作業】


誰かがパネルを開けた時に、リード線が短くてちぎれてしまうなどの問題が起きないよう丁度よい長さで配線されます。


コントロールパネル部分のポットやジャックは既に配線を行い、必要数を作り置きしています。



ポットとポットをつなぐリード線も、あらかじめ決められた数値で切っておくことで、無駄が無く綺麗な配線に仕上がります。作業の効率化も図り、美しく仕上がるようにと、職人の気遣いが感じられます。


作り置きしたコントロールパネル部の配線とボディ(ピックアップ等)との配線を行います。ボディに傷がつかないようクロスでカバーし作業をすすめていきます。



結束バンドで配線を綺麗にまとめて、ハンダ付けの作業が完了。コントロールパネルをボディに取り付け、配線作業が完了となります。

以上、ターボスイッチとその配線作業についてご紹介いたしました。
ぜひ一度、Workshop Deviser Guitars職人が仕上げるエレキベースモデルをお試しくださいませ。ターボスイッチの効果も実際に手にとって演奏してみてご体感いただけますと幸いです。

※当記事にて紹介している配線方法はBacchus Craft Seriesモデルでの組み込みとなります。
※使用しているパーツ等は時期によって変更する場合がございますこと予めご了承くださいますようお願い申し上げます。

次回の更新をお楽しみに。